LNG=10月30日~11月3日:需要家の買い気鈍く
DES北東アジア相場は先週、需給緩和感が広がった。期近の12月後半着は16ドル前後まで下落した。スポット市場では売りが多い。中国天然気集団(ペトロチャイナ)は12月上旬着と12月中旬着を、いずれも1月限の北東アジア着のスポット市況に対して40~70セントのディスカウントで売り唱えている。丸紅も12月下旬着を1月限の北東アジア着のスポット市況に対して20セントのディスカウントで販売可能だ。仏トタルエナジーズは10月31日、12月17~19日着を11月限の北東アジア着のスポット市況に対して65セントのディスカウントで英シェルに販売した。シェルはこの成約後に市場から退いており、これまで相場を支えていた同社が今後、買唱えの提示を控えた場合、北東アジア着相場が急落する可能性があると市場関係者は指摘した。日本需要家からの買い気も全体的に鈍い。関西電力が先週、期近の11月9日日本着を12月限の北東アジア着のスポット市況に対して50~60セントのディスカウントで買い付けたもよう。ただ、同社以外に積極的な日本需要家は見当たらない。太陽光発電や原子力発電が好調ななか、欧米企業は日本需要家から引き合いを受けていないという。西日本の電力会社も「在庫の消費スピードは例年と大きく変わらない。10月に入ってもっと気温が下がると思っていたが、そうでもなかったので、その点でいえば需要が気持ち少ない」と伝えた。日本企業からは「関西電力以外の日本需要家はむしろ売りたがっている」との指摘が寄せられた。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドの多くの需要家は現在のLNG相場について割高と指摘する。「高値を追いかけてまでスポット調達に動くほど需要は強くない」(インドの需要家)。中東ではエジプト政府は29日、イスラエルからのガス供給が停止したと発表した。エジプト国内ではガス不足によって停電地域が増加しており、国内需要を満たすためにしばらくLNG輸出を取りやめる可能性がある。ただ「エジプトは10月中旬にイスラエル産ガスの供給が約20%削減された時点でLNG輸出を控えていたため、需給に与える影響は軽微」(日本商社)との見方が寄せられている。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 世界銀行は欧州の2024年の天然ガス価格を12.50ドルと予測した。低調な需要を背景に、23年の価格よりも50セント低くなる見通しだ。「多少低い気もするが、景気後退で需要が弱いことを考えると、予測値は妥当といえる」(日本商社)との見方が寄せられた。このなか、12月前半着の商談は12月限の蘭TTF市況に対して、1.00ドルのディスカウントで展開されているもよう。「気温も高く、基本的に買い気が弱い」(他の日本商社)。南米ではチリのLNG輸入が鈍化。10月の輸入量は10万トンと、前月を61.6%下回った。前年10月比では52.4%少ない。
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