アジア石油製品=10月30日~11月3日: 発電用低硫黄重油の需要低迷
ガソリン 92RON相場は底堅く、中国からの輸出が限定的 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は週間を通じてもち合った。取引の中心が12月積みに移行しつつある。市場では強材料が散見され、相場の基調は強そうだ。中国から12月積みでも輸出が増える兆しが見られず、供給の引き締まりが続く可能性がある。中国の石油会社は年内の輸出割当量が限られ、輸出量を増やしにくい状況。中国から石油製品の輸出が減っているなか、フレートが下落し、FOBベースの相場を支える材料になりそうだ。また、シンガポールの先物市場で12月と来年1月の月間価格差は1.00ドル近辺の期先安で推移しており、12月前半積みに買いが集まりやすい。
ナフサ 市況軟化、荷余り感広がる 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対しカーゴ到着30日前評価で2.00~3.00ドルのディスカウント、カーゴ到着45日前評価で0.50~1.50ドルのディスカウントとなり、コンタンゴが形成された。市場関係者によると、スポット市場ではナフサの供給が増え、荷余り感が広がっている。欧米やロシアからのアーブ数量が増加していると伝えられた。ヘビーナフサもアジアへ送られてきているという。中東積み品の売り気も旺盛で、供給が潤沢となっている。 一方で石化品の主な買い手である中国で、新規設備の立ち上げが進んでおり、石化品の内製化が進んでいる。中国からの石化品需要減により、日韓台でナフサ需要が伸びていない。
中間留分 ジェット、軽油とも横ばい、12月積み商談は時期尚早 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は横ばい。12月積みの商談を始めるには時期尚早なことから、プレーヤーは様子見に徹している。市場では強弱材料がまちまちで、先行きの相場に不透明感が強まっている。シンガポールの先物市場でリグレード(ジェット燃料と軽油の価格差)のマイナス幅が依然として大きいことから、石油会社は引き続き軽油の生産に注力する見通しで、ジェット燃料の供給は限られそうだ。そのうえ、日本と韓国では灯油の溜め込みも進めているため、ジェット燃料の生産が一段と減りそうだ。一方、アジアから域外向けのアービトラージが開く兆しが見られず、需要も少ない状況。 韓国積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場も変わらなかった。スポット市場は動意薄。シンガポール先物市場で軽油の精製マージンが底堅く、韓国のGSカルテックスや現代オイルバンクは80%以上の製油所稼働率を維持する方針とみられる。一方でSKエナジーは製油所稼働率を引き下げる可能性が浮上している。 11月中国積みの数量が増加するとの観測が伝えられた。ガソリンの内需が堅調なため、ガソリンの国内供給を優先して輸出を抑え、軽油の輸出を増強する見通しという。
重油 北東アジアの気温高め推移の見通し 日本着0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場は同値で推移した。市場関係者によると、日本商社などから冬場の発電用として引き合いがあるものの、数量が限られており、市場は盛り上がりを欠いている。カロリーベースでは引き続き石炭や液化天然ガス(LNG)に割安感があり、プレーヤーの重油を調達する意欲は高くないようだ。11月入り後も北東アジアでは気温の高い状態が続くとみられており、需要を喚起する材料は乏しいとの見方が強い。
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